旅のプロローグ


警視庁中野警察署は2002年4月、 同区内在住で主婦のケメコ容疑者(年齢不詳)を、
容疑者の夫であるケメ旦那氏(26歳)に対する恐喝及び拉致の疑いで、 全世界に指名手配した。

警視庁の調べによると、ケメコ容疑者は、
以前から被害者のケメ旦那氏に対し、「世界一周旅行に連れてけ!」と執拗に迫っていたが、
ケメ旦那氏が頑固一徹、一貫して要求を拒否したことに腹を立て、
夜毎枕もとで意味不明の呪文を唱えるなど、陰湿な行為を繰り返した。
その結果、正常な判断能力を失ったケメ旦那氏を、言葉巧みに閉業に陥れ、
ついには拉致という卑劣な行為に及んだものとみられる。

被害者であるケメ旦那氏は、容疑者と結婚した1998年から自営業を営み、
その卓越したハッタリとテキトーの技術を駆使し、業界での地盤を固めつつあったが、
昨年来、営業に支障をきたす程の不眠症に悩まされ、
「誰かに呪われてるような気がするんすー」と周囲に打ち明けていたという。

しかしその後、ケメ旦那氏の様子が一変。
それまでまったく一切これっぽっちも興味のなかった「タビ」というキーワードに、
徐々にではあるが反応を見せるようになり、
ほんとたまーにではあるが、世界不思議発見まで大人しく観賞してしまう有り様だった。
専門家はこの症状を、マインドコントロール状態によるものと断定している。

知人によると、被害者のケメ旦那氏はかつて、
紫のリーゼントに短ランとぼんたんで身を固めた、湘(南)爆(走族)的スタイルな学生で、
元旦に日の丸を背負い富士山ツーリングをするのが趣味という、積極的な日本男児であった。
当時の友人は「ヤツが世界へ?考えられねーぜ。喧嘩上等!夜露死苦!」と話す。

一方、ケメコ容疑者は(自称)お嬢育ちの(自称)上品な(自称)美女であるがゆえ、
いつか白馬のよく似合うブラピ激似の大富豪がやって来て、お花畑で見初められ、
世界を股にかけた華やかな人生を送るだろうと周囲の誰しもが信じて疑わなかったが、
どーゆーわけかブラピとは似ても似つかないケメ旦那氏と結婚した後は、
それなりに幸せな主婦生活を送っていた。
ところが数年前から、長年の夢であった世界一周旅行と、海外社交界への情熱が再燃。
「ぜってー行ってやるでごるるるぁ」と、しとやかに息巻いていたという。

警視庁では同容疑者に海外逃亡の恐れがあるとし、各関係機関に協力を要請するとともに、
全力をあげて目撃者からの情報を集めている。


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